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原研哉 著 『日本のデザイン ― 美意識がつくる未来』読了

前々から車買い換えたいなぁなんていうときに、アウディやらプジョー 508やら去年出たイヴォークやら、いわゆる普通にいい感じにかっこいい車が欲しいなぁとか思いつつも、実はダイハツのタント(普通のグレードのやつ)の方がかっこよくないか? という思いが常に頭の片隅にあった。タントは、プリウスなみにそこら中で目撃するわけだが、なんというか、21エモンの世界に普通に走っていそうな、私の連想するティピカルな漫画的未来社会に対する郷愁を呼び起こすエレガントで無駄のない線だけで構成されたシンプルさをまとった真にクールなクルマであって、次々とうねうねと形が変わるために車のかっこよさなんて相対的なかっこよさに過ぎんから今ちょっと欲しいと思うような車は実はすべて別段かっこいいわけではないと思わせるまでの、潔い美しさを感じていたところ、デザイナーの原研哉氏がとっくにそこのところをきちんと整理してわかりやすく提示してくれていて、我が意を得たりと小躍りしたのがこの本である。

日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)

日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)

長い歴史をもつ文化が育んできた日本の美意識を再発見し、ものづくりだけでなく、これからは観光のようなサービス産業にも活用していけば、なんかこのままだとお先暗そうな日本が、グローバル化が更に進む世界で必ずやプレゼンスを発揮できる未来を引き寄せられるということを、自ら実践してきた事例の紹介や様々なアイデア等を通して訴えかけてくる、なかなかに熱くるしくて刺激的な良書であると思います。

「何もないテーブルの上に箸置きを配する。そこに箸がぴしりと決まったら、暮らしはすでに豊かなのである」(pg.106)

そのとーり。世の中金でないとはこれであり、日本にはそんな理解・解釈をかなり洗練された形で行える、重層的な精神文化があり、それはこれまで日本の経済発展においても無意識的な貢献(丁寧なシゴト)をしてきたと思われるが、今後はそれを意識的に行い、その価値を世界に発信しない手はない。ということですね。

 

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