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The XX、待望のサード・アルバム『I See You』レビュー:瑞々しいメロディはそのままに新たな個性を身に付けた

4年半ぶりのニューアルバム『I See You』

I See You [帯解説 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (YTCD161J)

ロンドン出身のトリオ、The XX(ザ・エックス・エックス)のニューアルバムを、1月13日の発売日にiTunes Storeで買いました(相変わらずシンガポールではCD買えないので)。

個人的にも、割りと世の中的にも2015年のベストアルバムであった、Jamie XXの『In Colour』を挟んでの新作でしたので、めちゃくちゃ期待していましたが、その期待を裏切らない出来に感激しております。

独自の個性は失わずに変化を決意した清々しさ

ホーンセクションで始まる冒頭のダンサブルな"Dangerous"から、これまでとの違い、変化する決意を見せつけてきます。

予想(期待)通り、Jamie Smith(=Jamie XX)のサンプリング技術・センスを駆使した音楽性がより前面に出てきており、過去2作とは明らかに異なる明るさ、ポジティブな雰囲気をまとっています。

それが気にいらないと言って去るファンもいそうですが、私はぜんぜんノー・プロブレム。2曲目の"Say Something Loving"や、先行シングルの"On Hold"に、とくにJamie XX節が顕著です。

▼"On Hold"のオフィシャル・ビデオ(名曲です)

www.youtube.com

ただし、独特の湿っぽさがなくなったわけでは全くなく、憂いを帯びたメロディはすべての曲に満載です。Romyがひとりで歌う5曲目"Performance"や、RomyとOliverのデュエット曲"Naive"(11曲目)などは、過去二作に入っていてもおかしくない切なさに満ち溢れております。

また、以前から、暗いけどダンサブルな曲も多かったですが、今回そうした曲は、Jamie Smithのスキル向上(?)により大幅にグレードアップして、よりファットになったというか、アラフォーオヤジに20年前のクラブ/ライブハウスを思い出させて、ひとり部屋で踊らせるに足る、ドライブ感も獲得しております。

そしてもちろん、クラブの暗い片隅でうずくまるときの感覚を忘れずに常に表現しているのが、The XXの素晴らしさです。

瑞々しいメロディはそのままに新たな個性を身につけた

The XXのこれまでのアルバムは、どの曲も控えめなテンションながら、瑞々しく、ときに鬼気迫るような美しいメロディが全体に散りばめられて、溶け合って、全体として良い意味で捉え所のないところもあって、それがひとつの魅力でした。

今回のアルバムは、トラックがよりリッチになっているものの、そんな雰囲気はきちんと維持しているため、変化がバンドとしての確かな成長につながっていることを感じさせてくれます。

聴けば聴くほど良くなってくる、味わい深い曲がたっぷり12曲47分(日本盤はボーナストラックが2曲収録らしいのでもう少し長いみたい)。

それにしても10曲目"Test Me"のアブストラクトなトラックがかなりやばいことになっており、これもJamie XX節などというのは正確ではなく失礼でもあって、もはやThe XXが新たな個性を獲得したというべきでしょう。

一皮むけて、さらに今後が楽しみになりました。

で、いま、これ書きながら聴いてましたが(最後を締めくくる"Seasons Run"のギターで泣きそうになったこともあり)、

結局、私にとって、これはThe XXの最高傑作になりました。買ってください。

I See You [帯解説 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (YTCD161J)

I See You [帯解説 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (YTCD161J)

 

ちなみにJamie XXの"In Colour"を未聴の方は、こちらもセットで買えば、間違いなく幸せになれます。私の2015年ベスト・アルバムで、PitchforkでもTHE 50 BEST ALBUMSの2位に選ばれていました。

In Colour

In Colour

 

 

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