複数の時計の日差を気軽に計測
機械式腕時計の精度(日差)をオンラインで気軽に計測できる『Toolwatch』という無料サービスを使ってみました。
機械式時計の日差を、計測開始時間をメモして、翌日の同じ時刻にわざわざ確認するといったアナログ方式ではなく、開始から12時間以上経ったあとの差(spd)を、オンラインでスマートに計測、記録できる、というサービスです(と、思ったらちょっと違ったのですがそれは最後に)。
複数の時計を登録できるのが便利な感じです。
Androidアプリもあるのですが、機械式時計だけに、落ち着いて机に向かってやりたかったので、今回はPCのインターネット・ブラウザ上のものを使いました。
使い方手順:時計の登録と計測方法
英語バージョンしかないですが、「The most convenient way to measure the accuracy of your mechanical watch」(あなたの機械式時計の精度を測る最も便利な方法)と謳う通り、使い方は非常に簡単です。
【1】登録/ログインする
Toolwatchのトップページの「MEASURE YOUR WATCH NOW」をクリックし、その先でメールアドレスを登録するか、Facebook IDでログインします。
【2】計測したい時計情報を登録する
ログインすると、計測したい時計の登録ページ「MY MEASURES」になり、下の方の緑の「ADD A WATCH」ボタンをクリックすると、以下のような時計情報の登録フォームが出てきます。
ブランド名だけが必須項目で、残りの「モデル」や「キャリバー」、「購入年」、「シリアル番号」は、入れなくても問題ありません。自分がわかればよいと思います(購入年入れてもあとで自分の管理リストに表示されないので、ただのアンケートになっている気がします)。
ブランドを入れるのが必須なのは、それをキーワードにして、あとから本サービス創始者のMarc Montagneさんから、そのブランドに関するメールを送るためと思われます(機械送信)。
そのメールには、それぞれのブランドに関するマークさんの思い出話が、ブランドに関するおすすめの書籍などのアマゾン・リンクとともに記載されていました。サービスは無料なので、リンクを踏んでから買い物するのも良いと思います。
【3】計測開始!
情報を入力して、「ADD THE WATCH」ボタンを押すと、さきほどの「MY MEASURES」ページに戻ります。
それから登録した時計欄の右側にある「Measure me!」というテキストリンクを押すと、「アメリカ海軍天文台の原子時計と時間を合わせています」と表示され、しばらく待つと、下の画面が表示されます。PCやスマートフォンの時刻は使いません。
「時計の秒針がぴったり12時位置に来たときにこのボタンを押せ」という指示の通りにボタンを押すと、以下の表示が出ます。
もし、この表示時刻が手持ち時計の時間と同じなら、原子時計由来の時報とぴったり合わせたということでOK。異なっていても、1分単位で前後に調整できます。
完了したら、真ん中のボタンを押して、「MY MEASURES」ページに戻ります。
すると、登録した時計の横に「Check the accuracy in 12 hours」 と出ていますので、最低12時間待ちます。
【4】精度の表示
12時間以上経つと、「Check the accuracy in 12 hours」が「Check the accuracy」の表示に変わっているのでそれをクリック。
また時報とシンクロを始めますので、秒針が12時の位置になってからボタンをクリックして以下の画面を表示させ、現在の手持ちの時計の表示時刻であることを確認します。
それから中央の「Show me my accuracy」をクリックすると、以下のように、精度計測を開始したときとの差が表示されます(spdはseconds per day)。
精度競争の結果
冒頭に書いたように、アナログ方式ではなく、オンラインでスマートに計測するのが売りのサービスなので、私のコレクションから5つの時計をさらさらっと登録してみました。
上から値段の高い順番になっていますが(オメガは祖父の形見ですがいま中古で買うとした場合の価格として)、27時間後の、高級時計のえげつなき精度は、以下の通りでした(ロレックス恐るべし)。
時計 | キャリバー | 日差 |
ジャガー・ルクルト | 925/1 | +6.6秒 |
ロレックス | 3130 | +0.0秒 |
ノモス | alpha | +9.9秒 |
オメガ | 561 | 途中で止まる |
セイコー | 6R15C | -39.2秒 |
ちなみに時計好きの方には常識ですが、誤解のないように言っておくと、機械式時計は使い方や気候条件などによって、日差は日々変わりますし、恐るべきことに、必ずしも「値段が高い=精度が良い」というわけでもありません。
上の表ではセイコーがずいぶんと遅れていますが、最近ほとんど使わずに止まったままにしていて、5年以上オーバーホールしていないものです。また、オメガは53年前の古いもので、最後のオーバーホールがいつだったか不明です。よって、フェアな比較ではなく、あくまで個人用の記録です。
というわけで、こうやって定期的に日差を調べておくと、いつオーバーホールに出すべきかのわかりやすい指標になり、壊れてから修理に出してえらく金がかかった! という事態を避けられるかもしれません。
結果の記録機能がいまいち
しかし、一日目の計測終了してみて気づいたのですが、このサービス、使う前は勝手に「登録した時計の精度をオンラインでスマートに記録していける」と思ったのですが、どうやら違ったようで、もう一回計測しようとすると、前の記録が消えてしまうという仕様でした。
記録を残したままにしようとすると、リストにまた同じ時計を追加すればできますが、リストの並べ替えもできないし、いつ計測したかの日付も出ないので、使い勝手はいまいちでした。
今後の機能を追加しての発展に期待です。ブログは結構いい感じです。と、思ったら2015年にサービス開始したようで、もう3年も経ってますね。
ともあれ、気軽にブラウザ上でちゃちゃっと計測できるのがよいところで、これから、普段身に付けながらとか、いろいろな条件で測ってみたいと思います。
【おまけ】最近読んだ時計の歴史本