ダフトパンクの新作を買いに行ったはずが、試聴機で聴いたジョシュア・レッドマンの本作に30秒で持って行かれ、お金を払って持って帰りました。
スタンダードから、ジョン・メイヤーやらブロンド・レッドヘッドに、ビートルズ、バッハ等々バラエティに富んだ選曲の「オーケストラ入りバラード集」ではありますが、以下のメンバーにかかると、ストリングスが甘すぎてタルい印象を与えることもなく、ジョシュア・レッドマンのサックス(ソプラノは#7のみで後は全部テナー)の引き立て役となり、至福のジャズ・バラード集に仕上がっておりました。
Joshua Redman (ts, ss)
Brad Mehldau (p)
Larry Grenadier (b)
Brian Blade (ds)
中でも白眉は、メルドー氏のポエジーが炸裂するオリジナル曲『Last Glimpse of Gotham』(#7)。
ストリングスをバックに、レッドマン氏が哀愁たっぷり、かつ確信的に吹き上げるフレーズが連続するこの曲は、3分30秒ほどで突然終わってしまうのがもったいなく、40分くらいずっと聴いていたくなるほど(背景で鳴るベルの音がまたもう否応なしに胸を締め付けてくる)。
それにしてもジョシュア・レッドマン、当たり前ながらサックスうますぎである。ふくよかな暖かみある音色を全体通して楽しめる本作は、24時間365日、シチュエーションを選ばずに場の空気を一変させる、優しくも力強い作品。