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シンガポールのマイナー観光地『ハウパーヴィラ(タイガーバームガーデン)』に行って啓蒙されよう!

何気に今年80周年を迎えたシンガポール随一の珍・観光スポット

シンガポールのマイナー観光地を自分で楽しんで、このブログで紹介していくことにしました。第一回目は、シンガポール随一の迷・珍スポットとして有名な「タイガーバームガーデンことハウパーヴィラ(Haw Par Villa)」です。

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▲入口から異様な雰囲気がむんむん

あのベストセラー軟膏『タイガーバーム』で巨万の富を成したビルマ系中国人の兄弟が、1937年に建設した庭園型テーマパーク。当初は、シンガポールにおける商品の広告塔の役割を担った施設ですが、1942年にシンガポールを占領した日本軍により接収され、丘の上に建つこの施設は大戦中、海から来る敵艦隊の見張り台として使われたらしいです(当時の写真が見たい)。

戦後、施設は荒廃したままになっていたそうですが、1990年に遊園地として復活するも、経営不振により2001年、もとの庭園に戻ったそうです。

現在庭園は、中国の神話、伝承、歴史の一場面を表現した1,000個(!)にも及ぶ、シュールでキッチュなコンクリート像とジオラマが大量に展示されています。*1

シンガポール人の同僚に以前、「ハウパーヴィラに行ってみたい」と話すと、若干鼻で笑われ「なんであんなとこ行きたいん? あれは俺らが小学校のときに遠足で行ったわ。子供の行くとこやで」と言われました。

ローカルの人々の間では、いわゆる子供向けの、古臭い、時代遅れの啓蒙施設的な扱いのようです。実際、シンガポールの観光スポット・ベスト10のような記事でも出てきません(しかしVisit Singaporeではきちんと紹介されています)。

しかし行けばわかりますが、このヒエロニムス・ボッシュの『快楽の園』が現実世界に顕現したかのような、グロテスクでドリーミーな非日常空間は、シュールなギャグを解する日本人には必見のスポットと言えましょう。あまりにフォトジェニックな像の数々に、シャッターを捺す手が止まらなくなること請け合いです。

ちなみに、なんとタイガーバームは売ってません。あと、人気ないためか、それとも現在、80周年に完全に間に合っていない改装工事中(一部)のためだったのか、中に売店もなにもありませんので、長時間楽しむためには飲み物を持っていったほうが良いです。下の地図のように、それほど広くはありませんが、丘のようなところにあるため坂や階段が多く、暑いと結構疲れます。

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写真30枚でハイライトをご紹介(ネタバレ注意)

というわけで、この庭園の魅力は写真でしかお伝えできないので、以下に30枚ほど掲載していこうと思います。

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▲入口門に立つおじいさんの視線がおかしい、というか足元のピンクの物体は一体?

 

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▲門をくぐってぷらぷら進むと、喜び大師が笑ってお出迎え。楽しげな気分でいると、

 

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▲とつぜんあらわれる羊の目が必要以上に悪魔的な眼光で来場者を威圧

 

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▲と思ったら、今度はキュートなマスコットキャラクターがあらわれますが、だいたい手の生え方がおかしいし、

 

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▲こっちも悪魔的・猟奇的な目で来場者を激しく威嚇してきます。

 

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▲近くに晒された生首は、先ほどのマスコットの仕業としか考えられません。

 

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▲もしくはこの、じじトラのせいかもしれませんが、なぜか猫みたいに縮んでいるので、その可能性は低いと思われます。小さいけど凄い威嚇してきます。

 

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▲トラによる暴虐は限度を知らず、

 

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▲その被害は甚大なようです(なぜかネズミは至るところで悲惨な目に会います)

地獄めぐりにも独自の解釈が?!

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▲メイン展示物のひとつ『Ten Courts of  Hell(地獄の十王の審理、いわゆる地獄めぐりのやつです)』の入口前には、一見したところ大吉だが実は凶、みたいな閻魔大王もどきのおっさんがなぜか右足だけズボンをまくり上げていました。

 

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▲建物の中に展示された地獄の様子は、ネタバレ回避のために、写真は少なめにしますが、上の写真のように、なぜか地獄の鬼ではなく、どう見ても一般人のおっさんが罪人を拷問している姿が印象に残りました。

解説によると、地獄での長い刑期を終えた罪人は、最後に魔法のお茶を飲まされて記憶を失くしたうえで、六道を通って転生していくそうなんですが、

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▲地獄上がりというか、完全にサウナあがりです。

 

地獄を抜け出した後も悪夢は続く

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 ▲あまりにも唐突すぎる巨大こおろぎの接吻とそれをひやかす象や猫人間たちの姿には、ここがなんの啓蒙施設なのかわからなくなってきますが、

 

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▲続けてこういうのを見せられると、これも親孝行のひとつの姿、ということなんでしょう。ぎりぎりの線でこちらを啓蒙してきます。

動物たちの表情に注目

中国の昔話の超現実的な独自解釈なのかなんなのか、絶妙な表情を与えられた、魅力的な動物、半動物人間の像たちによる寸劇は、とどまるところを知りません。

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▲謎の武器でねずみを射殺す猿(オス)の表情の間違ってやっちゃった感

 

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▲笑うせぇるすまんみたいな顔の子パンダの、人間食べてきちゃった感、もしくは、パンダやめちゃった感。

 

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▲グロテスクなものだけでなく、こちらのお母さん豚の、突然見られた驚きと恥じらいと無防備から来る恐れの入り交じる困惑の表情などは、日光東照宮の三猿の修復はこの豚の作者にやらせたほうが百倍良かったのではというくらい、実に人間味あふれる素晴らしい表情が出ています。なんか足が手に比べて妙に長いですけど。

怒涛のボケの連発にツッコミが追いつかない

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▲突如あらわれる力士! タイガーバームを挟んで土俵入り。さっきのトラのマスコットに比べると、ボディの造形が格段にレベル高いやん、やればできるやん、と思いながら右を向くと、

 

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▲お相撲さんの奥に、ガルーダ、自由の女神、さらに奥には仏さまが。異空間がここシンガポールで融合して、文化交流の進展と世界平和を祈念、みたいな演出には目を瞠りました。そしてなにげにバックの変な植物(?)の彫刻も悪夢的で面白い。

 

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▲実際、この作品などは細部への偏執的な拘りが物凄く、ファンタジックな一大立体絵巻でとても見応えがあり、子供のときに見ていたら、物語とともに一生記憶に残るだろうなぁと思っていたら、

 

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▲すぐ近くで、パンツ一丁の豚男がねずみ女に言い寄っており、やっぱり教育上よくありません。このみかん2個がなんのメタファーなのか、5秒考えてから、考えるのをやめました。

 

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▲これはどういうシチュエーションなのでしょうか。Google翻訳で、壁の文字を入力してみたら、「緣・良・満」と3文字入れたところで「男の良いマージン」と出ました。想像力を刺激してやみません。

 

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▲これは「生き仏」だそうですが、即身仏になろうとしている僧侶でしょうか。その割にはやけに明るい表情が印象的、というか、定年退職して乗馬をやったけど落馬して骨折したからひげを伸ばして漢詩の暗唱を趣味にしている、私が最初に勤めた会社の上司にそっくりで驚きました。

 

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▲このあたりの展示は、なにか教訓的な昔話の一場面の再現ですが、亀に乗ってひとり助かる男の喜びのダンスと表情がひどい。こんなことをしていると、

 

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▲こうなります。

 

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▲ここまで来ると、もはやツッコミどころが多すぎて疲れてきて、

 

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アジア系のヴィーナスがごみ袋の横で誕生したくらいでは、なんとも思わなくなりました。

 

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▲この蟹人間もしくは人間蟹の「してやったり」みたいな顔の表情を見ていると、これが実は、これら像の作者、もしくは庭園のプロデューサーの自画像なのではないかと思えてきて、なぜかこの顔を蹴りたくなりました。

 

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▲というわけで、はしゃぐ人魚の後ろで手を振るカニで締めたいと思います。

以上。

まだまだおもしろい像はたくさんありますので、シンガポールに来られた際は、一度立ち寄り、啓蒙されてみることをオススメします。入場料は無料です。

ちなみにタイガーバームは私も1個持っていますが、塗ったときのクール感は結構きつい目で、湿布を買うよりもコストパフォーマンが高くておすすめです。

ハウパーヴィラへの行き方

電車:MRT Circle Line(オレンジライン、環状線)のHaw Par Villa駅出てすぐ

車:West Coast Highway Viaductに並走するPasir Panjang Rd.から

※駐車場は、ハウパーヴィラ勤務歴40年みたいなおじいちゃんによる、現金徴収システムです(5ドル/回)。

 

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