使い分けが必要な日本語の「修正する」
「ビジネスとは修正の連続である」と言っても過言ではありません。あらゆるビジネスの局面で、今日も世界中で無数の修正が飽くことなく行われ、私も毎日、仕事をしながらいろんなものを修正しています。
昔から「日本人は創造することよりも修正することが得意」なんてバカにされたこともありましたが、日本人ビジネスマンはすでに、毎日要求される大量の修正に心底辟易としており、「もっとクリエイティブな仕事がしたい!」と、人生の修正を希求しながらも、日々目の前の修正に勤しむひとが大半かと推察されます。
ところで、日本人ビジネスマンが、顧客や上司から「修正」という言葉を聞いただけで、一瞬イラっとしてしまうことが多いのは、上述した修正に追われている事情に加え、実は、企画内容の「変更」、文書の「訂正」、製品不具合の「修復」、条件書の「改定」「改良」も、すべて「修正、修正」と、バカの一つ覚えのように繰り返すアホっぽさに苛立ちを感じてしまうからだと思います。
前置きが長くなりましたが、いつものように、ファジーな日本語よりも厳密な意味合いが求められる英語においては、「修正する」も使い分けていく必要があります。
【1】Change(変更する)
誰でも知ってる単語です。「change」はチェンジで日本語では「変更する」。
日本人の上司のために準備したプレゼン資料に対して上司から「この黒を赤に修正しといて」とアホのように言われることがあっても、それは「色を変える」ということにほかなりません。
よって、英語では単純に何かを「変える」のであれば、呪いのように脳裏に張り付く「修正」という言葉を忘れ、changeという単語を素直に出せるようにしましょう。
しかし、changeは誰でも知ってる単語なので、初心者はなんでもかんでも「Change、change」と言ってしまいがちで、それでは「修正、修正」言ってるのとあまり変わらないので、以下の単語を参考にしてみてください。
ちなみに、「change」には「小銭」「お釣り」という意味もあります。
【2】Revise(訂正する)
よく言うリビジョン番号のrevisionの動詞形「revise」(リヴァイズ)。
これは「文書を修正する」場合に使うべき単語です。契約書や図面の変更、修正は「revise」を使います。「こうあるべき部分をもう一度修正する」というニュアンスを含んでいるように思います。
たぶん、ビジネスでは最もよく使われる「修正する」の意味に使う単語です。
I would like you to revise the drawing.
図面を修正してください。
【3】Modify(修正/改造する)
ここから少し初級から中級者レベルになってきて、「modify」(モディファイ)という単語には、「なにか全体の一部を修正する」という意味合いが(多分)あり、どちらかというと、なにかあるモノの修正(改造)というときに使います。
The arrangemnt of "something" should be modified.
"何々"の配置は修正されるべき(意訳:修正してほしい)
とは言っても、この「modify」、文書の修正にも使えます。上記の「revise」には何かあって訂正する的なニュアンスがありますが、こちらの「modify」は、例えば契約条件をこちらに都合の良いように書き換えておこう、なんていうときに、条件書をmodifyする、つまり改良しておく、という風に使えます。
この単語は結構便利に使え、change、reviseよりもストラテジックでプラクティカルな響きがあるので、憶えておいて絶対に損のない単語です。
Have you modified the Terms & Conditions like what I told you yesterday?
昨日言うたけど条件書修正しといた?
【4】Rectify(修復する)
「rectify」(レクティファイ)は、ある程度英語に慣れた日本人ビジネスマンしか使わない単語かと思います。
この単語も「修正する」という意味を持ちますが、「なにか問題があったからそれを元に戻す」(=不具合を修正する)というようなときに使います。
なにかモノをおさめる仕事をしている方は、この単語がパッと出るようになると結構いい感じだと思います。状況的には全然いい感じではないですが。
This defect must be rectified by tomorrow!
この不具合、明日までに直してや!
They are now doing rectification work.
かれらはいま修正作業(補修作業)やってます。
【5】Amend(改定する、修正する)
この「amend」は割りとマニアックな単語で、どちらかというと、法規制の改正、公文書の改定、といったような、お硬いイメージがあり、実際そのように使われます。
しかし! 欧米ではどうかよくわかりませんが、少なくともシンガポール等のアジア地域では、この「amend」と、その名詞形「amendment」は、ビジネス上の書類の修正から、モノの修正・調整まで、結構かなり幅広く使っている場面に多く出くわします。
正直いうと、この記事では、この「amend」を「修正する」の意味で使うのが、とても便利でおすすめということを言いたかっただけといってもよいくらい、日本人があまり使わないけれども、ビジネスではよく使われる単語です。
ぜひ「修正する」のレパートリーとして、すぐ引き出せる単語にしたいところです。
He will make the necessary amendment.
彼が必要な修正を行います。
Will amend that.
すぐ直します。 ※物品に対しても可
【その他】これらもプラスアルファで使い分けるとさらに便利
touch-up
ちょっとした修正。補修。日本語にもなってますけど。ちゃんとした英語です。
update
「更新する」という意味ですが、「revise」の代わりのように「文書の訂正」という場合の修正という意味合いで使えます。
alter
「変える」「変わる」という意味の単語ですが、「手直しする」(=修正する)という意味もちゃんとあります。個人的には単に響きがかっこいいので(「Altered States」(アルタードステイツ)というかっこいいバンドがありましたし、「Altered Carbon」(オルタード・カーボン)というめちゃくちゃかっこいいSF小説が好きなだけ)、積極的に使っていきたいところですが、意外と発音が難しく、さらに上述の単語に比べればあまり使われない単語なので、上級者向きです。