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英文メールを格上げする便利な表現(その3):いい感じのビジネス英語(59)

当ブログで最もアクセスの多い記事は、コロナ禍で海外出張ができなくなった今、下記英文メールの表現に関するものです。 

それで先日ちょっと読み直してみて思ったのは、我ながら「定型文にこだわりすぎて古臭い、もしくは硬すぎる表現が多め」 ということです。

紹介されている表現は、主にインドや東南アジア、もしくは日本の歴史ある商社、銀行の人が使うようなものが多く、正直にいうと、欧米系の人はもっと会話的な文章をメールに書く傾向が強いです。

具体的には、日本の商社・銀行に入社した新入社員が、海外支店や海外取引先に英文メール書いてみろと言われ、作った文章を送信前におずおずと上司に見せたら、油ぎったおっさんの腐れ上司がここぞとばかりに調子に乗って赤ペン入れまくってドヤ顔するような、そんな格式とは名ばかりの堅苦しいだけの英語表現というものが、日本のビジネス界隈にはいまだに流通しております。バブル期を知るおっさんが滅亡するまで、この傾向はしばらく続くでしょう(とはいえ契約書を綺麗な文字で手書きしていた先人の努力は尊敬に値します)。

もちろん、堅苦しいというか、きっちりした表現を学ぶことは大事で、正式な、ちょっと法務が絡むような通知書(Notice)なんかを書く際はそういう知識が役立つのは事実です。

ですが、もはやチャットツール/アプリで連絡取り合うのが当たり前になった今、あんまり堅苦しい表現をメールで使うのは、一見エレガントなようで、実は粋ではないと思います。アメリカ人などが見たら苦笑しているかもしれません。

よって、今回は、過去の2つの記事内容をやや否定するところも出てきますが、もっと自然でいい感じな表現をメールで書くポイントをいくつか、日本のビジネス現場でありがちな定型表現を否定する形で紹介します(格上げというか格下げ?)。

1. "Regarding the captioned subject"は使わない

いわゆるメール冒頭に書く「標題の件」ってやつですね。これは商社の人がよく使いますが、ダサいので一切使わなくて良いです。相手がたとえ、年上、お客さんでも、いきなり言いたいことを書き始めて何の問題もありません。

話題を変えるときに「With regard to 〜」は良いと思います。

2. "Esteemed company"は使わない

いわゆる「御社」ってやつですが(もしくは"respected company")、これも白々しいので不要です。おっさん上司がこんなん書いてたら鼻で笑いましょう。"you"や"your company"で良いです。

3. "kindly"の使用は減らして"please"を多用する

私、以前の記事で、kindlyがpleaseの代わりになるから便利みたいなことを書きましたが、訂正です。やっぱ古臭いので、多少マンネリ感が出てきても、pleaseの方を多めに使えばいいと思います(kindlyがダメなわけではないです)。

実は最近仕事していると、インドネシア人がやたらとkindlyを使い、それも「Kindly received」とか変な表現を使うのを見てそう思いました。「Thank you kindly」などは、古語です。奥ゆかしい響きはいいんですけどね。メールではしらこいです。

4. "would be appreciated if〜"も極力使わない(能動態にする)

これも日本人のおっさんがよく使う表現です。"appreciate"自体は、会話でもよく使うので、全く問題はありません。「Thank you. Apppreciate it!(ありがとう、助かるわ!)」など。

しかし、受動態にしたらなぜか格式が出ると思い込んでいるおっさん的な英語は否定しましょう。下記表現のように能動態で書いた方が自然で、好印象です。

We would be thankful ~

〜していただければ幸いです。 

It would be really helpful 〜

〜してもらえれば大変助かります。

もしくはそもそも「Could you please 〜」で良いという説もあり。

一方これを会話で使う場合は(以前も書いたと思いますが)、英語の発音が不得意な日本人の「Could you」は、どうしても「苦渋」や「苦汁」に聞こえるので、ここはちょっとかっこつけて、「クドゥユー」みたいな発音にしても許されると思います。

ちなみに「help/helpful」は便利な単語ですので、自然と出るように普段から使うことを心がけると良いです。「It would help me out. (役立ちます/助かります)」とか咄嗟に喋れるといい感じです。

5. "as per"の盲目的な使用を避ける

以前「as per は便利」みたいなことを書きましたが、あくまで「よく使われるので意味は覚えておいた方が良い」に訂正します。メールで使うと、ラテン語起源のためややよそよそしい、というか同じくインドネシア人が間違って多用しまくっているので、嫌になりました。何でも「as per」つけとけばいいみたいな。例えば、

We ask you to kindly make payment as per invoice attached herewith.

 一見、英文的に間違ってなさそうですが、大袈裟に訳せば「本電子メールに添付致しましたるところの請求書により何卒御支払い賜りたく」みたいに慇懃無礼でアホっぽいです。

We would appreciate your payment as billed in the attached invoice.

の方が率直、シンプル、ベターです。

6. "Due to the fact that"とか"in spite of the fact that"とかやめる

なぜか日本人がよく使う表現です。勉強英語、論文英語っぽいので不自然です。メールでは基本的に前者には"because"、後者には"but"で、シンプルな能動態の文章を繋げて自然な英語にしたほうが良いです。

7. "insist"や'be confident"はあまり使わない

"insist"には、強情に主張するようなニュアンスがあり、ビジネスメールで使うとかなりきつい印象になります。喧嘩腰的な。

また、使いがちな「We are confident that」も「自社の製品に自信がある」という意味なら良いと思いますが、「あなたがお気に召すことに自信がある」というような押し着せがましい使い方は避けた方が良いです。代わりに「We strongly hope that」などの方が良いと思われます。

似た表現に「We trust that」も見かけますが、気持ち悪いです。

8. 「連絡お待ちしています」の自然な言い方

日本語のメールの結びといえば「よろしくお願いします」。英語では「Best regards,」で良いと以前書きました。

しかし結び的に最後に「これ見たら返信欲しい」と言いたいとき、

We are awaiting your favorable reply.

などと書かれたメールをたまに見ますが、これも「良い返事」を勝手に待ってる感があり、押し付けがましいです。"awaiting"もやや気取った感があります(個人の感想です)。

We look forward to hearing from you soon.

Please get in touch with us if you need clarifications.

Feel free to reach out to us / contact us if any question.  

程度で良いと思われます。

9. "Duly"何たらは使わない。

これもメールでよく使われ、以前の記事でも紹介しましたが、私は最近もう使わないことにしました。使ってる英語ネイティブの人をほぼ見ないからです。使っているのは、日本人やらインド人、インドネシア人などの非ネイティブの人たちです。

それにそもそも会話で「Duly」とか言ったことないし。

おそらく「Noted」や「Received」のみだとちょっとそっけない感がするので「Duly」を頭につけておけば良いという浅はかな考えかもしれませんが、必要ないです。正直「Noted. Thanks.(了解。ありがとう)」でいいと思うのですが、気になる方は「Well noted. Thank you.(よくわかりました。ありがとうございます)」くらいでよいでしょう。

10. 謝るときの自然な表現

メールで謝罪するときに大抵出てくるのが「regret」です。例えば、

We are regretting the inconvenience this incident may have caused you.

文法的には合ってるはずですが、こういういかにも形式ばった謝罪表現をメールで書かれると、謝っている感じがしないと思うのは私だけでしょうか。例えば、「申し訳ないですけど〜こうなりました」的な文脈なら「regret/afraid however」で良いですが、普通に謝る時は、

We feel extremely sorry for the inconvenience caused.

などと、普通に「sorry」を使った方がいいです。外国人はあまり「sorry」を言わないとか言われますが、あれは嘘ですので。謝る時は普通に使います。逆にいえば「sorry」使った方が真摯に謝っていることが伝わります。

11. "in due course"などの曖昧な表現も避ける

これも「適当な時が来れば連絡します」みたいな期限切りたくなくて曖昧にしたい場合に便利な表現ですが、自分が期限を守る側であろうと、守らせたい側であろうと、どちらの場合でもメールの場合は日付を切ったほうが、お互いフェアとなり紳士的で良いです。

なお、こちらが期限を守らないといけない場合で、そうは言っても確約できん、というような場合は、「We will send you hopefully by 17 April」などと書いておけば良いでしょう。

12. 契約書に出てくる単語・表現は極力メールで使わない

日本人は契約書で使われる英語が好きで「In no event shall we be liable for any claims, penalties, loss, damage, or expenses howsoever arising, out of or in connection with 〜」みたいな文章を暗唱できるようになると、英語が上手くなった気がするのはわからなくもありません。

契約書に出てくる英単語・表現はいつか自分用にまとめてみたいと思っています(すでにある法律事務所のウェブサイトでまとめられているが1ページで備忘録的なやつにしたい)。

しかし、そんな単語・表現をメールにそのまま書いてしまうと、心がこもってない感が出るので使わない方が良いと思います。

ついでに言えば、実際メールでよく見る「herewith」「hereby」なんかも避けた方が誠実な感じがします。大体「herewith」なんて言わんし。

* * *

とりあえず以上です。

なんかまとまりなくてすみません。英文メールは、シンプルでストレートな方が良いので、そういう文章が書けるように、無駄な装飾や押し付けがましい表現をなくせるよう、思いつくままに書いてみました。

今月入社した新入社員の方で、おっさん上司に英語表現のダメ出しをされている方には、ぜひ本記事を過去記事と併せて参照いただき、心の中でそんなおっさんの英語を嘲笑い、溜飲を下げるための一助になれば幸いです。

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