またもやブログ更新をサボっていました。
実は最近某国におけるプロジェクトが佳境に入っており、コロナの影響もあっててんやわんやで往生していたと言うのは言い訳ですが、それにつけても言っておきたいことは、インドネシアの税関は碌でもないと言うことです。
ビジネスが良きにつけ悪しきにつけグローバル化する今日、国としての効率性・生産性、はたまた将来性の度合いは、外国との窓口である税関(モノ)や入管(ヒト)のクオリティを見ればわかると言うのは、インドネシア税関だけでなく、先日報道された日本の入国管理局の非道さを見るにつけ、言い過ぎではないでしょう。
さて、皆が海外出張しなくなり、当ブログのアクセス数ならびに広告収入が低下の一途を辿る中、メインコンテンツであるビジネス英語ネタを取り上げて、再起を図りたいと思います。
「検討する」と「対応する」の記事が割とよく読まれています。
そんな言葉は他にないかいな、と安易にあれこれ考えて思いついたのが、今回のネタ「管理する」です。
「管理する」が意外と言いにくい
日本人、特に海外子会社に赴任している人などは、とかく現地法人の従業員や事業を「管理する」立場にいる人も多いと思われます。
外国で何か問題が発生すると、本社から「ちゃんと管理してたんか?」みたいな、OKY的にムカつくことを言われたことのある人は多いことでしょう。
で、その日本人が多用する「管理する」を、オンライン辞書『Weblio英和辞典』で調べると、出てきた英単語は以下の通りでした。
administer, control, manage, conduct, govern, preside, supervise
なんか口語では滅多に使わない単語も混じっていますね。
おそらく、ビジネス英語初級者の日本人が最初に思い出すのは「manage」だと思われますが、実はこの単語、事業を「経営する」→「管理する」という意味よりも、「何とかしてやる(manage to do)」と言う意味で使われることの方が多く、「管理する」のように使われることはあまりありません。
にもかからず、広い意味での「管理する」の意味で、無理に「manage」を使っていて、よくわからない誤解されそうな英文になっているメールを見たこともあります。
「control」は結構便利ですが、「制御する、支配する」のニュアンスがあり、日本語の便利な「管理する」とはちょっと異なります。ヒトをコントロールするなんていうと不穏な空気が漂います。
私のような英語の発音が苦手な人間は「govern」なんて滅多に使いませんが、「Govern your tongue」は「お前の舌を管理しろ」→「口を慎め」となります(英国的)。
「supervise」は、(人や作業を)管理する、いわゆる「SV」(技術指導員)でよく使います。しかしその「Supervisor」は、日本では技術のエキスパート的な指導する立場を指すものの、シンガポールやインドネシアでは、「Supervisor」は「Manager」の下で動く、現場監督より下位の「現場ワーカーのリーダー」的なニュアンスがあるので注意が必要です。
現場を指導する立場のSVは、英語では「Technical Manager」などと言った方がベターです(つまり履歴書で「Supervisor」をやってた、なんて書くと、少なくとも東南アジアの経営層には誤解されがちということ)。
「管理する」→「ちゃんと見る」→「監視する」
我ながらいつも余談が多いです。
何が言いたいかというと、いつもの話で、英語を自然に使いこなすためには、日本語でよく使う便利な単語(「検討する」や「対応する」など)は、たいてい広い意味を持っているので、「管理する」も同様に言い換えるとうまくいくということです。
つまり、ビジネス会話でよく使う「管理する」は、人にしろ、お金にしろ、仕事の進捗状況にしろ、「ちゃんと見とく」という風に言い換えられます。
ですので「ちゃんと見る」→「監視する」繋がりで「monitor」という単語の使用がおすすめです。
「monitor」(モニター)は、日本でよく使われるパソコンの画面的な名詞の意味に加え、「絶えず監視する」とか「ちゃんと見てチェックする」という動詞の意味があります。
「監視する」というと、ややきつい言い方に聞こえますが、「monitor」は「医者が患者の様子を見る」という意味合いにも使えるほか、「お金や作業の進捗などを管理する」という意味でも普通に使えます。というかよく使われます。
例えばお金なら、
How are you monitoring the petty cash expenses by the driver?
【直訳】運転手による小口現金の使用はどのように監視していますか?
【意訳】運転手に渡した小口現金ちゃんと管理してるか?
進捗状況なら、
Request you to monitor the status closely.
【直訳】状況を綿密に監視することを要求します。
【意訳】進捗状況はきちんと管理してください。
となります。両方の例文とも私が先日同じような文章をメールで書きました。
上の例文では、「お金や進捗状況をちゃんと管理する」という意味で使われています。これを例えば冒頭で挙げた「manage」に変えて見ると、文章の意味が全く異なった、もしくは変なものになるというのはお分かりいただけると思います。
この辺も実は、私も含めた日本人に英語が苦手な人が多いことに関係していると思う次第です。日本語は広い意味で使う単語が多いです。
【おまけ】「track」も割と使える
実は「monitor」は、昨日仕事のメールで書いたので思い出しただけというのはさておき、「track」も何気に「管理する」の意味で使えそうです。
車の「truck」ではなく「track」は、「足跡」や「轍」「走路」などの名詞の意味のほか、「追跡する」という動詞の意味もあります。
「追跡する」にも「監視する」に似たようなイヤらしい感じがあるので(?)、「管理する」に使えます。
上の小口現金の例文に対する返答を例に挙げると、
We have a petty cash record that is used to track the petty cash expenses.
【直訳】小口現金の使用を追跡するために使われる小口現金記録簿を持っています。
【意訳】仮払い現金の使用を管理するための記録はちゃんと取っています。
みたいな感じで、相変わらず「manage」が「管理する」で使いにくい単語であることがよくわかると思います。これこそまさに、いい感じのビジネス英語です。
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【後記】ワクチン接種完了率が全人口の80%を超えたシンガポールでは「これ以上規制は強化しない」とか「国境も段階的に開き始める」と政府が言った矢先、コロナ新規感染者数が1週間で倍増、またもや外食禁止やらの行動規制が復活して、さらにmonitorされそうで憂鬱です。全企業の従業員一人当たり8個の簡易PCR検査キットを配ることも発表され、これから2ヶ月ほど、毎週自分で検査しないといけなくなるそう。日本に一時帰国するタイミングに悩む今日この頃です。