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【駐在員向け】シンガポール国内引越しやることリスト&注意点

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「思い出のマーニー」(観たことないけど引越しイメージ。ジブリWEBサイトより)

このほどシンガポールで3回目の引っ越しをしました。新しい住処の周辺については、また別途書くとして、今回は引越しでいろいろありましたので、ノウハウを共有しておきます。

本記事は、主に会社の金で家具付きコンドミニアム(賃貸マンション)に住んでいる駐在員の方を対象にしています。これから引越しをされる方の参考になれば幸いです。

引越し業者の手配

引越しの日程が決まれば、まずは業者を確保しましょう。できれば一か月前くらいに。

クソ高い日系業者から、比較的リーズナブルなローカル業者まで多数ありますが、安く済ませたければ、カルーセル(Carousell)というこっちのメルカリみたいなサイトで「mover」で検索すれば、かなり安いマイナー業者がたくさん見つかります。

料金は$20とか書いていてもそれは釣りで、実際はカルーセルアプリ上のチャットで、物量などをテキトーにやり取りしながら見積もりをしてもらいます。コンドミニアムを賃貸している場合、大抵大きな家具は付いている場合が多いため、どっちみち物量が少なければ、ベース料金の高い有名会社に頼むよりは、こうした小さな業者に頼んだ方がコストは抑えられます。

私の場合は、2トントラック1台、運転手・ワーカー計2名で$250(約2万円)でした。安いです(段ボール20枚込み。荷造りは自分で)。

本当は「ここがおすすめ」なんて紹介したかったのですが、実は約束の時間通り来ない、請求書持ってくるの忘れる、段ボール回収が予定どおり来ないなどトラブルが続いたため、紹介はしません。

ただ、時間に遅れることはシンガポールでは割とよくあることですし、引越し作業自体については特に問題ありませんでした。駐在員の場合、引越し費用も会社負担と思いますが、私のように本社の総務に嫌味を言われるのを避けたい人は、こうした安い業者に依頼してコスト節減アピールをしておけば良いでしょう。

ちなみに、日本でのようにスーツやコートなどを吊ったまま運べるクローゼットボックスみたいな気の利いたものはないので、スーツなどはスーツケースに入れるなどして自分で運んだ方が良いです。

できるだけ安く済ませたい場合

もしもあなたがミニマリストで、段ボールは5個もあれば十分! でも車が使えない、という場合は、Lalamoveなどのオンデマンド宅配ドライバーサービスを使えば、さらにコストは抑えられます。実際に使ったことはありませんが、今月末同僚のインド人(ミニマリストではない)がここに依頼したそうで、今度どうだったか聞いておきます。料金はたった$50(約4,000円)だったそうです。

引越し日時を決める時の注意点

日時を決める時は、必ず現在住んでいるマンションと引越し先マンションの「引越し作業可能時間」を確認しましょう。シンガポールのコンドミニアムには必ず管理事務所があって、ほぼ確実に日曜日は休みで土曜は半日だけというところが多いため、土曜日の引っ越しは午前中しかできない場合があります。事前に確認しておいた方が良いです。

また、引越し先のコンドミニアムは、引越し作業中の共用部分への損害を担保するためのセキュリティ・デポジットを要求する場合もあります。私の場合は$1,000の小切手をわざわざ渡しました。

さらに引越し申請書(=なんか壊したら弁償する宣誓書)の提出も要求されますので、よくわからん場合は、不動産エージェントに聞けば確認・代理手続きしてくれます。引越し完了後は、忘れずに管理事務所に出向き、小切手を返してもらうか、その場で破いて捨ててもらうことをわすれないでください。

カーテンクリーニング

マンションの賃貸契約には、大抵カーテンのクリーニングが借主の義務となっています。こちらは脚立がないと自分で外せないほど天井が高く、カーテンもでかいため、家庭用洗濯機では洗えません。というかプロに頼んでその作業証明書(インボイスなど)を提出する必要があります。クリーニングは1週間から10日程度かかるため、こちらも早めに依頼しましょう。私はOYA Sewingという会社に依頼しました。安くてサービスにも問題なかったです。

エアコンメンテナンスのレシート準備

ご存知の通り、南国シンガポールではエアコンのプロによる定期クリーニングが借主の義務となっています。引越し前後の引き渡しの際の無用のトラブルを回避するために、過去のクリーニングの作業報告書かレシート、長期契約書のコピーを準備しておきましょう。

この定期メンテナンスのコンセプト(エアコン故障の際の責任の明確化)から言って、現状でエアコンが問題なく動いていれば過去の報告書を出す意味はない(最新のものだけで良いはず)とは思うのですが、そういうこと言っても不動産エージェントやオーナーには通じないので、文句言わずに紙を用意しておいた方がスムーズです。

自分で掃除するか、プロの清掃業者に依頼する

部屋の引き渡しに備え、部屋の掃除が必要です。汚い部屋のまま引き渡すと、あなたの人間性が根底から疑われます。

根性で掃除しても良いのですが、私の過去の経験から言って、なんやかやでココ汚い、アレ汚いと指摘されます。オーナーの性格がめんどい場合は、汚いことを理由にプロの清掃業者をアレンジ、それも安いところを選ばず、完了後にその料金を敷金からマイナスします。

こうした際に借主が「いや、これは経年劣化の範囲内だ!」などと強引に主張して揉めることを避けるために、賃貸契約にそもそも引き渡し時のプロフェッショナル・クリーニングを借主の義務にしている場合もありますので、契約書を確認しましょう。

契約書に書いていれば自分で依頼する必要があります。書いてない場合は、依頼しなくても良いですが、素人の掃除だと上記の問題につながる恐れもあるため、そこは不動産エージェントやオーナーの性格から総合的に判断した方が無難です。

今回の私は、オーナーが良い人だったので自分で掃除しました。しかし、結局引き渡しの際にオーナーのエージェントから色々ココが汚い、アソコが汚いなどと、こちらの人格を否定するような暴言を浴びせられ、ムカつきつつもそこはグッと我慢して「やかましいわ、そんな汚いいうんやったら業者に頼めや、知るかボケ」という言葉をマイルドに伝えました。

すると後日、敷金が満額返ってきました。不動産エージェントに清掃料はどうしたのかと聞くと「私が払ったラー、ビコーズ、あなたは良い借主なので」という返事。これも私の人徳の為せる業でありましょう。

しかしこれは稀なケースで、大抵は敷金から原状復帰料と称して幾らか減額されます。ちなみに3年前、私の同僚が敷金トラブルに見舞われ、裁判沙汰にまでなったことがありますので、引渡しの際は慎重にやりましょう。少額訴訟する場合は下記を参照ください。海外ではとりあえず言ったもん勝ちみたいな性格の人が多いので、無茶なこと言われても素直に受け入れるのではなく、こっちも必ず一度は言い返しましょう。それでも決着付かなければ少額訴訟です(クソ面倒臭いけど)。

www.materialized.biz

物の処分

いざ引っ越すとなって部屋の整理を始めると、キリンの置物やニワトリ籠など、なんでこんなもん買ったんや、というエキゾチックな品々や、壊れたレコードプレーヤー、腐ったオーブントースターなどが出てきます。

コンドミニアムには大型家具を捨てる場所があることもありますが、場所によってはない場合もあるし、電化製品は一応リサイクルしないといけないことになっており、PC、テレビなどのE-wasteはゴミ捨て場に捨てられません。そんな場合の処分方法について以下に書きます。

カルーセルで売る

シンガポールではカルーセルというフリマサイト/アプリが有名で、ここを使ってさっさと売ることがベストでしょう。自分で取りに来ることを条件に無料で出すこともできます。

カルーセルの良いところは、利用料が完全無料で、物が売れても販売手数料を取られません。シンガポールは狭いので、売り手と買い手が実際に会って取引きするのが主流のため、会う場所はできるだけ人目のあるところにしましょう。なお、買い手が見つからず、処分に困った場合は次の裏技があります。

ヴォイドデッキに放置する

ヴォイドデッキ(Void Deck)ってなんやねん、と思われたかと思いますが、これはシンガポールの公団住宅(HDB)の地上階にあるオープンスペースのことをこう呼びます。爺さん婆さんがよくたむろっている、コンクリートの柱と椅子のあるあのエリアです(シンガポール在住の方ならすぐにわかるでしょう)。

ここは、不動産エージェントによると、要らないものがあったらなんでも放置しても良いらしく、壊れたテレビを放置しても誰かが部品取りを目的に持っていくか、HDBの清掃会社が処分するそうです。最初マジかと思いましたが、シンガポール人の同僚に聞いてもそうらしく、しかし本来はHDBの住人向けであり、部外者によるここの利用は割とグレーゾーンと思われますので、ご利用は自己責任でお願いします。しかし、HDB在住のシンガポール人の知り合いに頼めば多分問題ないと思います。

心配な方は、リサイクル業者に有償回収サービスを依頼しましょう。

引越し前の各種変更手続き

引越しで一番めんどくさいのが、各種変更手続きです。自分でも忘れないようにやることを全部書いておきます。まずは引越し前。

郵便の転送手続き

なんやかやで細かい住所変更を忘れることになるので、郵便の転送(Redirection)手続きはしておいた方が良いです。しかしシンガポールはなんと有料です。

Singapore Postの転送手続き紹介ページ

このページを見ると、2ヶ月頼むと$30に見えますが、実は手数料は累積で、2ヶ月にすると$50ドルも取られます。それもわざわざ窓口まで出向いて申請書を提出する必要があります。私は20分以上並んでからこの事実を突きつけられたため、断るわけにもいかず渋々払いました。なお、一旦配達を停止して、落ち着いてから新住所にまとめて配達というサービス(Retention)もありましたが、料金は同じでしたので転送の方がベターです。

電気・水道・ガス

最近はシンガポールでもIPP(独立系電力事業者)が増えました。しかし駐在員の場合はほとんどSP Groupのサービスを利用しているかと思います。電気も水道もガスも全部一緒なので楽(ガスは最近のマンションにはほぼない)。

SPのサービスは、転送ができません。

現状のマンションのアカウントを停止(terminate)して、新しい住所で新しくアカウントを作る(open)必要があります。

SP Groupのウェブサイトでユーザー登録をしておけば、ポータルサイトで簡単に行えます。面倒臭い人は、不動産エージェントに頼めば代理でやってくれることもあります。しかし忘れてはいけないのはここでも敷金です。

最近はSPアカウント開設時のデポジットが$500もします。上述の通り、アカウントは転送ではないので、デポジットを新しいアカウントには移行してくれません。アカウントを停止したら後日小切手が郵送されてきます。

注意すべきは、引っ越すときに、もとのオーナーがアカウントを引き継ぐ(takeover)場合です。今回の私がそのケースで、すぐに新しい借主が見つからなかったので、オーナーがアカウントを引き継ぎました。その場合、念のためデポジットはもとの契約者(つまり自分)に返してくれと連絡しておかないと、デポジットごと引き継がれる恐れがあります(多分)。

インターネット関係

ブロードバンドはアカウント引越しできます。新しいマンション設備での設定や部屋での立ち合いが必要なので、早めに(少なくとも2週間程度前には)日時を予約しておいた方が良いです。

駐在員は携帯電話は会社支給と思いますが、もし自分で別途携帯電話や通信サービスを契約している場合は、そちらの変更も忘れずに(紙の請求書も基本無くなったのであまり心配ないですが)。

引越し先マンションのIU番号の登録

自分の車やレンタカーがある人は、引越し先のマンションの入口ガントリーバーにIU番号を先に登録しておくと、入居日当日からスムーズになります。セキュリティにいちいち説明する手間が省けます。事前登録自体は不動産エージェントに頼めばやってくれます。

会社が車をリースしている場合は、自動車の登録証、IU番号だけでなく、会社から運転を許可されている旨の書かれたAuthorization letterの提出が必要な場合が多いです。

引越し後の各種変更手続き

引越した後は、駐在員にとってもっとも重要な手続きがあります。 

MOM(Ministry of Manpower)への通知

駐在員の方は基本的に労働パス保持者なので、MOMへの住所変更届けが必要です。EP Onlineでできますので、会社の担当者に依頼するか、アクセス権があるなら自分でやるかしましょう。変更自体は簡単ですが、忘れると多分、後々大問題になります。

ACRA Bizfileの登記情報変更

もしあなたが、現地法人や支社の取締役(Director)もしくは代表(Authorised Representative)の場合は、ACRA(会社登記局)Bizfile(登記簿)の住所変更届が必要です。これもオンラインです。CorpPassを持つ担当者に依頼するか、権限あるなら自分で忘れずにしておきましょう。

これも忘れると後々問題になり、また変更の報告は、変更有効日から30日以内に行う必要があり、それを過ぎると罰金が課せられます(日数により段階制)。ちなみにその罰金は、ショッピング・カートに入れてクレジットカードですぐに支払えるというのがシンガポールらしいです。

ちなみに、IRAS(税務署)やICA(イミグレ)には特に住所変更を届ける必要はありません。上記のMOMのEPOL上の変更を参照しています(但し、日本のパスポートを更新した場合はICAに報告が必要です)。

銀行・投資・保険

銀行の住所変更は重要です。入金があれば郵便で通知が来る場合もあり。どこの銀行でもオンラインで簡単にできるはずです。余談ながら、DBSのオンラインバンキングがWEB、モバイルともに優秀すぎて、日本の銀行も見習って欲しいものです。

また、投資信託や保険商品を買っている場合も、保険会社などの住所変更は忘れないように申請してください。忘れっぱなしだと色々問題が大きいです。

日本人会

忘れがちで私も忘れたのが、日本人会の住所変更。全ての日系企業が加入しているわけではないものの、もし会社が会員で会報誌を自宅郵送にしている場合は、変更しておかないと意外と忘れっぱなしになりそうです。

その他

お子さんを学校に通わせている場合は、学校の手続きがあるのだと思いますが私は単身赴任なのでわかりません。あとは店やジムなどの会員なら、それらの住所変更をちまちましていけば良いと思います。

やることチェックリスト

CHK

時期

タスク

 

3~4週間前

引越し業者連絡(日時確定、段ボール手配)

 

2~3週間前

カーテンクリーニング

 

2週間前

ブロードバンド引越し手続き

 

 

SP Group解約、開設

 

 

郵便転送依頼

 

1週間前

掃除、梱包、処分、エアコン証拠

 

 

IU事前登録

 

引越日当日

新居の不具合チェック(あれば写真撮ってエージェントに)

 

引越し後

銀行・投資・保険

 

 

MOM EPOL

 

 

ACRA Bizfile

 

 

日本人会

 

 

学校、習い事、クラブ、お店の会員

 

 

 

 

その他

SPの敷金小切手確認

 

 

前住居の敷金返還確認(通常退去から2週間以内)

 

こうやって見ると大したことなさそうですが、実際は業者の連絡が悪かったり、時間通り来なかったりと引越しは色々とストレスフルです。そんなストレス軽減に本記事がお役に立てば幸いです。 

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