世界最高峰の時計メーカー、パテック・フィリップ(1839年創業)による時計展覧会が、9月28日~10月13日まで、シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズで開催されています(入口は、Marina Bay Sands SouthのLevel B1)。
ドバイ(2012年)、ミュンヘン(2013年)、ロンドン(2015年)、ニューヨーク(2017年)に続いて開催されているもので、入場料はなんと無料です(オンラインでEチケットを申込んでおくのがベター)。
というわけで先週の10/5(土)の午後、「どうせ買われへんけど無料やし一応拝みに行ってけつかるか」という程度のモチベーションで足を伸ばしたところ、ジュネーブのパテック・フィリップ・ミュージアム所蔵の歴史的タイムピースなど、400以上を一堂に揃えた予想以上の充実ぶりに悶絶しました。
以下、展示構成に沿ってフォトレポート。
- 1.Current Collection Room / 現行コレクションの部屋
- 2.Napoleon Room / ナポレオンの部屋
- 3.Museum Room / 美術館の部屋
- 4.Rare Handcrafts Room / 希少な手細工の部屋
- 5.Watchmakers Room / 時計師の部屋
- 6.Grand Complication Room / 超複雑時計の部屋
- 7.Movements Room / ムーブメントの部屋
- 8.Sinagpore Historic Room / シンガポールと歴史の部屋
1.Current Collection Room / 現行コレクションの部屋
▲なぜか最初に現行コレクションのショールーム。余裕が感じられます。
▲女性向けカラトラバがカッコいい!
▲『7234 Calatrava Pilot Travel Time』。マイ・ドリーム・コレクションを完成させる最後のエキゾチック時計(2019年現在)。上のレディースモデルは37.5mmという絶妙な大きさ。
▲と思ったら、こっちのシンガポール限定モデル(2019)の美しいブルー・グレー文字盤に一目惚れ。こっちも嬉しい直径37.5mmで、ケースはなんとステンレス。でもお値段400万円超。400本限定。
2.Napoleon Room / ナポレオンの部屋
ジュネーブにあるサロンの部屋を再現。
そこから見えるジュネーブ湖(レマン湖)の風景まで映像で。
3.Museum Room / 美術館の部屋
▲アンティークコレクションから、16~17世紀のペンダント・ウォッチ。
▲18~19世紀のペンダント・ウォッチ。
▲矢筒を模した裁縫道具入れ。先端部分の裏に時計があります。
▲中国(清王朝)市場向けに作られたという望遠鏡時計(のレプリカ?)。後ろの懐中時計は1795年のものらしい。
▲イギリスの時計士、トーマス・マッジ設計による船舶用クロノメーター。1796年。
▲花をモチーフにした懐中時計。右のピンク色のものは機械仕掛け(オートマタ)で人形が動き、音楽が鳴るそう。
▲モーゼの奇跡を描いたオートマトン懐中時計。1815年。
▲ため息が出るほど美しい、リピーター懐中時計。1820年。
▲1850-1851年。ビクトリア女王のペンダント・ウォッチ。左側の時計のムーブメントは、LeCoultre & Cie製、というあたりがルクルト所有者としてちょっと嬉しい。
▲1868年のパテック・フィリップによる最初の腕時計(ブレスレット型)。どでかいダイヤモンド付きの蓋を開けると極小の文字盤が見られます。
▲永久カレンダー懐中時計。1891年。ケースは1935年。
▲写真でよく見るやつ! 1910年のグランド・コンプリケーション懐中時計(ミニッツ・リピーター、スプリットセカンズクロノグラフ、永久カレンダー、レトログラード・デイト)。直径55.8m。これはオーラが漂っていました。
▲24時間クロノメトロ・ゴンドーロ・ポケット・ウォッチ。最初はシルバーケースだったのが1925年のメンテ時にローズゴールドに交換されたそう。
▲1913~20年頃のゴンドーロ。オリジナル!
▲1980年代頃の永久カレンダー時計たち。35~37mm程度のちょうどいい大きさ。
▲21の複雑機構を搭載した変態懐中時計。スターキャリバー 2000。永久カレンダーに、昼夜、日の出、日の入、季節表示、ビッグベンメロディのチャイムにパワーリザーブ表示とか色々全部入って、直径73.2mm。20個作られたうちのひとつ。
▲裏面では星座と月の軌道と満ち欠け表示。
4.Rare Handcrafts Room / 希少な手細工の部屋
▲ドーム・テーブル・クロック。シンガポール限定バージョン。
▲細密画が施されたエナメル・カラトラバ。
▲裏面に古いシンガポールの港の絵が描かれた懐中時計。
▲1950年代のテーブル時計にインスパイアされて作られたユニーク・ピース。上の写真はシンガポールですが、クアラルンプールやマニラ、ジャカルタ、バンコク、ハノイ・バージョンもあり。道路の線は、細い金のワイヤで、手作業で切ったり曲げたり貼ったりしているそう。
5.Watchmakers Room / 時計師の部屋
▲絵付けの実演。笑顔が素敵なおっちゃんでした。
▲わざわざ機械持ち込んで、ギョーシェ彫りを実演。会期最初はもっと複雑な模様を刻んでいたそうですが、来場者による振動でうまくできなかったため、途中から比較的単純な模様にしたそう。
▲彫金ブース。
6.Grand Complication Room / 超複雑時計の部屋
▲グランドマスター・チャイムの部品図面(Calibre 300)。・・・このあたりの複雑時計あたりで気絶していたのかなぜか写真が全然ない・・・。
7.Movements Room / ムーブメントの部屋
▲トゥールビヨンのカゴを模したなにか。
▲近づくとムーブメント(240 LU CL C)がはさかってました。
▲ずらっとならぶムーブメント。もうお腹いっぱい。
▲クロノグラフの時計は好みではないが、ムーブメントには引き寄せられる。
▲グランド・コンプリケーション(300)。部品点数1,366。
▲年次カレンダーの分解・組立の実演もやってました。鼻息で飛びそうなネジ。
8.Sinagpore Historic Room / シンガポールと歴史の部屋
シンガポールおよび東南アジアへのトリビュート・コーナーは、実は会場入口すぐの休憩椅子が並ぶホール横にあります。ここに飾られている時計は、美術館や個人所有のものを特別に借り受けたもので、最初で最後だそう。上の鯉時計も個人所有。ダゴン。
なお、展覧会カタログ(30ドル)を購入すると、パテック・フィリップの記念モデルの数々を紹介したオールカラー/ハードカバーの本も付いてきました(全63頁)。カタログの販売収益は、シンガポールのナショナル・ギャラリーに寄付されるそうです。
以上。
時計に興味のある方はもちろん、美しい工芸品に関心のある方も楽しめるであろう内容でした。リスペクト・伝統。
無料のEチケットは、以下のサイトで入手できます。次の日曜(10/13)まで!