シッタナバサルのジャイナ教ロックテンプル
先日インドに出張した際、日曜日に帰る飛行機が夕刻だったので、ちょっと観光してきました。いま流行りのブレジャーというやつです。
行き先は、インド南西部のタミル・ナドゥ州にあるシッタナバサル(あるいはチッタナバサル)のジャイナ教の石窟寺院です。
Chiittannavasal Cave Temple
こんな南インドの陸の僻地みたいなとこを目指して、車でゴー。
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運転手が、ハイウェイとは名ばかりのセンター車線もあいまいな道路を90kmくらいで飛ばしやがるのですが、バスやトラックの追い抜き様に、対向車にぶつかりそうになること数えきれず。
何度「Drive safely!」と言っても、ちょっとゆっくり走ったと思ったら、すぐにグイグイ行く運転を始め、聞く耳まったく持ちやがりませんでした。
道中通過したインドの貧しい田舎の村。シンガポールからわずか4時間で着く距離なのに、隔世の感。
車の前方に突然ヤギの群れが現れ、ヤギ使いに追い立てられていきました。ヤギは食うそうです。羊もヤギもマトンらしいです。
某所から車に揺られること1時間、ようやく見えてきた岩山。花崗岩(Granite)だそうです。なんで突然飛び出しているのかは謎。
ファンシーな入り口ゲートを抜けて進むと、おっさんが道端に座っていて車の窓越しに「チケットを買え」というので、その横の掘っ立て小屋みたいなとこでチケット購入しました。インド人は10ルピー(約16円)なのに、外国人は300ルピー(約480円)もしました。
同僚のインド人によると、インド国内では、外国人は金持ちという意識がまだまだ根強いらしいです。シンガポールでホワイトカラーとして働くインド人は日本人より相当高い給料もらってることが多いんですけどね。
一口に「インド」と言っても、言語から文化からいろいろ異なるように、「インド人」もこちらが心配になるほど「いいやつ/純真なやつ」もいれば、チャンスあればこちらをだまくらかしてやろうという輩まで、いろいろいます。日本とスケールがまったく異なるので、単純な比較はできません。インド人はことほど左様に多様です。
遠くから見ると低い山にしか見えないのに、近づくとその岩石の巨大さ、カタマリ感に圧倒されました。
そんな岩山の一部をくり抜いて作られたのが、今回の目的地であるジャイナ教の石窟寺院。7世紀建立らしく、中は残念ながら写真撮影禁止でしたが、美しい壁画(蓮の中に人や動物や魚が戯れているような絵)が内部を飾り、壁にはジャイナ教の聖人の、まったく装飾のない素朴な像が彫られていました。
この石窟寺院の内部の広さはたった3mx3mの9平米くらいのもので、昔はジャイナ教徒がこの中で瞑想をしていたそうです。
瞑想にはパーフェクトな場所で、中で普通にしゃべる声はまったく響かないのに、低音だけは反響を続けます。定在波というんでしょうか。
タミル語しか話さない説明員のじいさんの説明を何回も聞きすぎて内容を完全に憶えているらしいセキュリティ担当のおっちゃんが英語で説明してくれたところによると、20ヘルツ以下の音だけを反響するとのこと。ほんまかいな。
たしかにそのおっちゃんが喉の奥を震わせると、声は出ていないのに、「ぶおぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~~ん・・・」と大きな反響音が響き渡り、しばらく止みませんでした。
その音の大きさは、なにか機械仕掛けかと思えるくらい大きなもので、ドローン音楽好きの私にとってはまさに好物の音色で興奮してしまい、しばらく低い声を出してみて遊んでいましたが、声を出さずにあそこまで大きな音を反響させることはできずじまいで、インドの奥深さの一端を垣間見ました。あれでは瞑想も捗るというものです。せんけど。
ちなみにジャイナ教は、アヒンサー(不暴力)を厳守する禁欲主義的なインドの宗教のひとつです。*1
ジャイナ教徒は菜食主義者なんですが、にんにくや玉ねぎなどの根菜も植物を殺すということで食べないそうです。でも牛乳は飲むそうなのでヴィーガンともまた違うらしいです。
ちなみに、インド人にはジャイナ教のような厳格な宗派の人間でなくてもベジタリアンが多いですが、鶏肉や羊肉だけは食べたり、酒は奥さんの前では飲まないけどウィスキー大好きだったり、なんで肉食べないのか訊いたら宗教的な理由であったり、個人の信条の問題であったり、または母親との約束であったり、わけがわかりません。
岩山登山
石窟を出た後は、その近くに上に登れる岩山があるとのことで向かいました。
その前に休憩で飲んだインドの超ローカルな炭酸飲料。値段は観光地価格で倍の20ルピー(35円)。ラベルが反対に貼られている品質管理具合にちょっとびびりながら飲んでみると、シロップだけで味付けされた炭酸水といった感じで、蓋がちゃんと締まってなかったんでしょうか。炭酸がかなり抜けていてまったくおいしくなかったです。
岩山のふもとでまたチケットを買わされ(相変わらず外国人は300ルピー)、岩山に向かうところで、同行していたインド人のライチみたいな果物を入れたビニール袋めがけて猿がジャンプアタックをかまし、見事に果物をすべて奪われてしまいました。
岩山の入り口にある、配管材で作られ、いい感じにしなびた説明看板。この時気温が40度近くあったので、読まずにさっさと登りました。
山道の途中にあったおしり岩。
頂上への道は、上の写真の通り、なかなかの奇観でした。
しかし登って行こうとしたところ、突然後ろから笛の音が聞こえ、振り返ると、どこかの茂みに隠れたセキュリティ担当員が「登ったらあかん!」(多分)と大声で叫んでいました(しかしどこにいるのかまったくわからず)。インド人によると、2~3年前までは登れたそうです。
岩山の頂上のすぐ下を回り込むように作られた道を進んでいきます。クソ暑かった。
するとその奥は行き止まりになっており、自然にできた岩陰のような休憩スポットになっていました。見晴らしがよく風も気持ちよかったです。
実際、ジャイナ教徒は昔ここで休息していたようで、当時の岩ベッドが残っていました。心無き人間に落書きされたためか、数年前にベッド部分には立ち入れないよう柵が設置されていたのが残念でした。つるつるして気持ちよさそうでした。
岩山からの景色はこんな感じで、インドのでかさを改めて実感できる小旅行となりました。
インドのVeg Mealは安くてうまい
そのまま空港に向かう帰り道、クーラー付のレストランで遅めの昼食。上の写真は典型的な南インドの食事で、「Veg Meal」といえば出てくるやつです。
あとで皿の真ん中、バナナリーフの上に白いご飯を盛ってくれるのですが、これでたったの100ルピーです(200円しない感じ)。
南インドではナンは基本的に食べません。ナンよりもっとパサパサした感じのチャパティと白いご飯ばかり食べます。インドで食べるこうした料理は、シンガポールで食べるものよりはおいしいです。インド人曰く、シンガポールでは袋に入ったスパイスを使うが、こっちではフレッシュなスパイスをそのまま使うからとのこと。
なお、日本人的にはどうしてもこれでは物足りず、タンドリーチキン(北インド料理)なども頼んでしまいますが、インドで食べるタンドリーチキンは、日本によくあるインドレストランの100倍うまいので、それを味わうためだけでもインドに来る価値はあります。
完全ベジレストランの場合は、タンドリー野菜を頼めば、パンチの効いた味を楽しむことができます。タンドリーパニール(チーズ)もうまいです。