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スウォッチ『スキン・クラシック・メタル・ニット 34』レビュー:薄くて軽くてエレガント、そしてジャガー・ルクルトのマスター・ウルトラ・スリムにそっくり!

私の初めての腕時計は、小学生高学年くらいの頃(80年代後半)に親戚のおばさんに誕生日プレゼントでもらったスウォッチでした。私が身に付けてしばらく経った頃から、周りでスウォッチが流行りだしたので、うれしさのあまり「俺が流行らした」とかアホのように言い触らしていたのを今でも覚えています。実際アホでしたが。

さて、それから30年ぶりくらいで、自分用のスウォッチとして、『スキン・クラシック・メタル・ニット 34』(Swatch Skin Classic Metal Knit / SFM118M)を衝動買いしました。

衝動買いの理由はこれ▼

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我が愛用のドレス・ウォッチ『ジャガー・ルクルト マスター・ウルトラ・スリム 34(JLC MUT)』に、文字盤の色から12、3、6、9の数字、楔形インデックスまでそっくりで、店頭でこれを見つけた際、生き別れの双子の弟が奴隷商人に売られそうになっているところを何気なく立ち寄った市場で偶然発見したかのようで、いまここで引き取らいでか! という精神の流れに抵抗できず、即買いしました。

身に付けてみるとそのあまりの快適さに、週末用ぶらぶら時計、もしくは、東南アジア出張中の夜間出歩き用の時計として、結構な頻度で使用することになりそうです。

衝動買いはたいてい無駄遣いになりがち。しかし今回はネタではなくマジでかなり使えそう、というわけで以下にレビューしていきます。

スウォッチ・スキン・クラシックのレビュー

スウォッチといえばプラスチック製の比較的安価なファッション時計として有名ですが、実はスイス最大の時計会社であり、錚々たる時計ブランドが傘下に入っています。ブレゲやブランパン、ロンジン、オメガなんかもスウォッチ・グループです。

それはさておき、やはりスウォッチと言えばプラスチック時計で、透明のアクリルやポリカーボネート・フェチであり、無印良品のアクリル小物、カルテルの家具なんかをちまちまとコレクションしている私としては、今回購入した『Skin Classic Metal Knit』は、透明プラスチックとミラネーゼ・ブレスレット(金属メッシュ)が実に良い塩梅でミックスされており、そのエレガントなサイズ、文字盤のデザインは、ともすればチープ感の漂うスウォッチ時計の中で、「歴史ある機械式こそ本物の腕時計」という主張に対する有効なアンチテーゼとなりえる絶妙なデザインです。「クラシック」を名称に冠するロングセラー・モデルであることも頷けます。

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搭載ムーブメントと精度

ムーブメントはスイス製クォーツです。時計の裏はスケルトンになっており、ムーブメントを鑑賞することができます。なんの飾り気もない、質素なものですが、コイルなどの機械パーツが見えるのは嬉しいポイントです。

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これは秒針のない2針モデルで、時計を耳に当てると、20秒に1回、カティン! と音がします。つまり長針が1分間に3回ステップ運針します。

精度は測ってませんが、当然、高価な機械式時計よりも正確です。

 

文字板とインデックス

シルバーのサンレイ仕上げで、光が当たるとやや下品なほどにキラキラ、クルクル輝きます。

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文字盤の中央が円形に窪んでおり、その円周にはミニッツ・トラックが印刷されています。長針と短針は、その内円にしか届かない短いバー型です。

部屋の中では視認性に問題はありませんが、太陽の下で見ると、光を反射しすぎて何時かすぐに読み取れません。夜光塗料はなし。

特筆すべきは、やはり冒頭にも書いたJLCマスター・ウルトラ・スリムそっくりのインデックス・デザインです。パクリではと思えるほどに似ています(楔形インデックスはやや短い)。

楔型インデックスや、「3、6、9」を数字にするところの、いわゆる「エクスプローラ・スタイル」はよくあるものとは言え、その数字のフォントまでがそっくりです。

すべて植字ではなくプリントとは言え、その縦に細長い数字とシャープで小さなインデックスのハーモニーが、この時計にシンプルながらも退屈とは無縁の、実に上品な印象を与えています。

ケース

「クラシック」シリーズという名の通り、直径は34mmと小ぶり。

最近のトレンドではレディース・サイズとされがちな大きさですが、個人的には34~36mmという大きさは、小さい事が価値でもあった腕時計の美しさが際立つベストサイズだと思っています。

男性が付けてもぜんぜんおかしくはありません(小さすぎるという人は結構いますが)。長さ(ラグからラグ)は38 mm。

そして厚みは、名称に「Skin」とあるように、3.9 mmしかありません。

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ケース素材は透明プラスチック。シルバーグレーの文字板が樹脂内に挟まったような格好で、「樹脂の中に因われた金属」とでもいったような風情は、今は滅びた古代文明の名残が悠久の時を経て琥珀の中に閉じ込められていたのを発見してなでなでするみたいな、フェティシズムを刺激するポイントと言えましょう。

ほぼ水平でほんのわずかにカーブしたラグも一体成形のプラスチックとなっており、上記のフェチ云々は冗談としても、シルバーの極めてクラシックなデザインの文字盤に、とても軽やかでフリーリーな印象を纏わせています(フリーリーに生え散らかした毛がきもくてすみません)。

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操作性

竜頭をひっぱってたまに時間調整するだけ。手巻きの機械式時計と異なり、毎朝巻いたりする必要もなくストレスフリー(注:とは言え毎日の手巻きはストレスではありません。機械式腕時計を愛でていくうえでの重要なポイントです)。

ベルトと尾錠

ラバーやプラスチックではなく、金属のミラネーゼ・ブレスレットです。値段的にペラペラで安っぽいかと思いきや、思いのほかしっかりしています。実際薄いのですが、安っぽくはなく、とても軽くて付け心地も快適です。

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いかにもスウォッチらしい、ケースとベルトの凸凹した接続部分(ベルトの端)は鏡面仕上げとなっており、その凸凹部分のメカニカルな感じとキラキラした感じの同居が、この時計にエレガントなだけでない、スウォッチらしい「楽しさ」を演出しているようにも思えます。

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装着性

とても快適です。ミラネーゼ・ブレスレットの装着は、引っ掛けてパチンとするだけの簡単なもの。時計自体軽いので、ぺろんと巻いてクイッ、パチンです。時計を身につけるための所作自体が軽快で素晴らしい。

ベルトの留め位置の調節はちょっとだけめんどいですが、購入時に店のひとにベスト・ポジションにしてもらえばとくに問題はないでしょう。

服装/シチュエーションの適応性

かっちりしたスーツとか以外はなんでも行けると思います。文字盤がシルバーで、スウォッチらしいカラフルな感じもなく、仕事でもジャケパン・スタイルならいけるはずです。

服や靴は高級なものを身につけ、時計はスウォッチ・スキン・クラシックでハズすとか、なかなか粋なんじゃないでしょうか。

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私は、海外出張時でも重要な打ち合わせがある場合は、JLC MUT(ドレスウォッチ)を付けていきますが、悩みは夜の出歩き時です。

客先と高級レストランでディナーとかならドレスウォッチのまま行きますが、ホテルに戻ってからラフな服装に着替えてテキトーにメシでも行くか、という場合、ドレスウォッチは付けたくありません(かと言って時計なしという選択肢はありえないのが時計愛好家のSA・GA)。

ロレックスのオイスター・パーペチュアルはその点万能なので、最初からそれを着けていきたいところですが、ゴールドのロレックスを着けて街を歩いていたら泥棒に路地裏に引き込まれて腕ごとチョッパー! みたいな都市伝説がまことしやかに語られる中、途上国への出張時に、誰でもわかりやすいロレックスは避けたいところです。飲み屋の姉ちゃんにはモテるかもしれませんが(自己責任)。

というわけで、海外出張時には時計を2本持っていくという前提で考えると、このスキン・クラシックは、JLC MUTと見た目が似ているという個人的な楽しみはさておき、出張時に皆様のドレスウォッチのサブとして、気軽に持って行くものとしては最適なんではないでしょうか。

当然、普通に楽しげな、リラックスした週末時計としても優秀です。

 

防水性

日常生活用防水と言われる、3気圧防水(30 m)です。普段使いに問題はないでしょう。着けたままのシャワーや水泳は避けたほうがベターです。

耐久性

プラスチックなので高いとは言えません。風防はそのうち傷だらけになりそうです。ムーブメント自体はちょっと落としたくらいでは壊れないとは思います。

ちなみに、スウォッチの時計は2年保証で、電池交換は生涯無料でやってくれるそうです。

価格について

日本での2019年11月現在の定価は、15,400円(10%税込)です。

私が買ったシンガポールでは175ドル(7%税込)でした(いまのレートで言えばシンガポールの方が1,000円くらい安い計算ですがほとんど一緒)。

最後に

薄くて軽くて、手に取った際、やっぱ値段相応かなぁという印象が頭の中を支配するより先に、「Less is more」プリンシパルがお経のように頭の中に鳴り響くデザインが非常に洗練された美しくて楽しい時計です。

普段使いに、もしくは、機械式時計愛好家でクォーツ時計が一本欲しいけどグランドセイコー高いなぁという方(=私)にも最適なんではないでしょうか。Ikaga de Sho ka?

シンプルで値段もそれほど高くないので、老若男女誰にでもおすすめできます。

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