先日、シンガポールの仕立て屋さんで作ったシャツの紹介記事を書きました。
このほど、一緒に注文していたフランネルのトラウザーが完成したので、こちらも紹介しておきます。このトラウザーは生地の到着が予定よりだいぶ遅れたということもあり、納期は6週間ほどかかってしまいました。
トラウザーはオーダーに限る、その理由
ブランドの既製品を店で買うより実は普通に安いのが良い。
これが一番の理由です。
ディテールを自分好みに指定でき、サイズも自分にぴったりのものができる。これがもちろん、オーダー(MTO: made to order)の魅力ではあります。
しかしそれよりも、今更気づきましたが、Yeossalのような、超高級ビスポークテイラーでは"ない"ところで、かつ高品質な生地を扱っているところに頼むと、意外にも安く済むことが魅力的です。ただしもちろん、激安テイラーは生地が良くないので避けた方が良いです。
サイズは申し分なくぴったりで、しかもそんなに高くない。セレクトショップだとだいたい1本3万円以上するトラウザーを買うよりはコストパフォーマンスは遥かに高いと思います。
ブランドの歴史がどうのこうのという観点(数多あるテイラーは真似しているだけで独自性が薄いとか)はあります。
しかし、イタリアやらイギリスの老舗専門ブランドのものをセレクトショップやネットを介して買うよりも、日本や(私の場合シンガポール)のお気に入りのローカル・テイラーを見つけて、そのテイラーがたとえ新興であっても、顧客として歴史を一緒に紡いでいく、という方が浪漫を感じられないでしょうか。
何度か足を運ぶうちに、すぐに店の人とも親しくなれるのもテイラーの良さです。
とくにYeosselのおそらく店内で最も若い店員さん(どちらも男前)は、二人ともグランドセイコーの腕時計を付けており、非常に親近感が湧きます。
ちなみに、今回注文したトラウザーは以前書いたように、VBC(カノニコ)の生地の在庫がなく、英国の老舗Stand Even(スタンドイーヴン)の生地を特注したので、$398(約31,000円)と少し高めでしたが、日本の店で既製品を買ったらおそらく30,000円は絶対に下らないクオリティであり、ウェストぴったり、かつ快適であることを考えると、決して高くはありません。
ちなみにVBCやDragoのフランネルだと$308(約24,000円)、化学繊維込みですがイージーケアのフランネルだとたった$208(約16,000円)で作れてしまいます。
これからはもうシャツもトラウザーもここでオーダーすることにしますが、先日またもやNUS学生のI君が気になる仕立て屋を見つけたというので、直にそっちも試してみようと思います。
スーツのオーダーはちょっとお高いので、まだ検討中。
しかしせっかくフランネルのトラウザー買ったけど、クソ暑いシンガポールで着る機会はなく、冬の日本に行けるか微妙なのが悲しいところです(年末が無理になっても流石に2〜3月頃には一回は帰れるはず)。
グレーのフランネルトラウザーの優れた汎用性
さて、できあがったトラウザーですが、結構重い生地(多分380g)だけに出来あがった時の重厚感と高級感はなかなかのものです。
サイドアジャスター付きで、割とハイウェストで履く形状。おっさんになると、もはやローライズのスリムパンツなどみっともなくて履けるものではありません。
裾は一周で"Fifteen and half inch"(39.37 cm)。こっちは採寸中はcmではなく、インチで言って来るので、その度ごとにcmで確認しないといけません。つまり、裾幅は19.685 cmです。ダブルの幅は4.5cm(ちなみにシンガポールでは、裾上げダブルのことを、"turn up"と言うより、"cuff"の方がよく使われているようです)。
裾幅19〜20cmは細すぎず、太すぎず、短足にはちょうど良い長さ。
もうちょい太い方がより重厚でクラシックな感じが出て良かった気もしますが、それはまた、1930年代のアメリカ映画俳優的な、実際は90年代の国語教師的なソルト&ペッパー(白い粒々のある濃いグレーの生地)を仕立てる時にします。
ただ、生地が英国のものだけに、注文した時はたしかに「inward 2 pleats」(内向きの2プリーツ)と言ったはずなのですが、なぜか注文仕様書をみると、プリーツの向きの矢印が外向き(outward)になってました。
それを伝えると男前のGSの兄ちゃんが「変えられますよ」とは言うものの、また時間かかるやろし、外向きもシャープでええな、なんて思ってたら、店員のお姉ちゃんが笑顔で「Looks nice!」と言ってくれたので、「あ、そう?」てな感じでそのままAcceptanceしました。でも履いていて気に入らない部分が出てきたらいつでも修正してくれるそうです。
グレーのフランネルトラウザーは、冬の仕事着としては、ブルー系でもブラウン系でもはたまたグリーン系でも、どんなジャケットにも合わせることができ、普段着としてセーターに合わせても、キレイめ系の休日スタイルが超簡単に完成しますので、非常に汎用性が高く便利です。
去年までは既製品のものを履いていましたが、今回これを履いてみると、ピッタリサイズはやっぱり快適。もう戻れません。
写真ボケてますが、短足であるところを除けば、我ながらいい感じのパンツに仕上がりました。でもあとハーフインチ(1.27 cm)長くても良かったかな。
何度か履いてみないと縫製の具合なんかはよくわかりませんが、とりあえず見た目と履き心地レビューでした。
ちなみにこれのコットンパンツなら$200(約15,500円)くらいで作れます。
日本からも注文できるので、興味のある方は試してみてください。
Yeossal
33A Circular Road, Singapore 049389

Dressing the Man: Mastering the Art of Permanent Fashion
- 作者:Flusser, Alan
- 発売日: 2002/10/01
- メディア: ハードカバー