『ちくわのわーさん』を読んだ。『うどんのうーやん』との特筆すべき違いは、うどんよりもちくわのサイズがかなり大きく描写されていることである。
多分全長5~6mはありそうなちくわ。そんな風にちくわを巨大化したかった作者の気持ちは、例えば以下のページを見ればよくわかる。モンゴリアン・デス・ワームにそっくりなちくわのグロテスクさをこそ強調して描くことで、食べ物を粗末にしたらバチが当るよ的な、というか、身の回りにあるものに対して畏怖の念を抱かせよう的な、日本古来のアニミズム思想に根ざした実に教育的・教訓的で、真っ当なおすすめの絵本である。
とか思ったら、ナイスタイミングで『群像』2月号の特集は『絵本 御伽草子』なのであった。
とりあえず目当ての、町田康氏による昔話リミックス短篇『付喪神』だけ読んだ。
何でも擬人化したがるのは日本人の習性のひとつであって、『ちくわのわーさん』がとくに奇を衒った内容でもないことは昔話(おとぎ話)を見ればよくわかる。本短篇では、そんな昔の話を町田康氏が更にアレンジしたもの。挿絵も良かった。