日本人がよく最初に思い出す「exaggerate」という難しい単語
今回はちょっと小ネタ的に、商談/プレゼン等でよく使う「強調する」として、パッと使えるようにすべき単語を紹介します(英語の得意な日本人はフツーに使う単語です)。
英語での打合せの最中、あまり英語が得意でない日本人は「ここを強調したい」という意味で、「I want to exaggerate here(指差して)」みたいな表現をよく使います。
これは自分でも学生時代を思い返せばそうだったなぁ、というか、たしか高校で勉強する大学受験英単語で、この「exaggerate」がまず「強調する」の意味で出てきたような記憶がうっすらと(たぶんに記憶補正されて)あるような気がします。
しかし、英語ネイティブのひとがこの単語を使っているのを聞いたことはほぼありません。それもそのはず、この単語の意味は、「強調する」よりも「誇張する」とか「大げさに言う」の意味合いがあり、ビジネス会話ではそういう単語が避けられるのは当然だからです。
なんでこんな単語を高校で覚えないといけないのかよくわかりません。
発音も難しいし、逆に発音が難しいから今でもよく憶えているのか、もしくは「凶鳥が呼ぶ、伊具座邪 霊斗」みたいな中二病的な響きがカッコよくて印象に残ったということなのかもしれませんが、残念ながら商談などで使う機会はほぼないと思っておいた方がよいでしょう。
次に出てくる単語「emphasize」
次に思いつく「強調する」は「emphasize」です。
これも高校で覚える単語だと思います。たしかにこれはビジネス会話でも使えます。
ただ、正しいかどうか保証できませんが、この「emphasize」には『ある物事について「言及する」ときに、そこを「強く言う」』。というニュアンスがあるような気がしてなりません。
類語の「emphatic」という形容詞には、「語気の強い」とか「力説して」みたいな意味があります。
あくまで「emphasize」は「強調して"言う"」という感じ。
つまり、私が言いたいのは、例えば自社製品のプレゼンテーションにおいて「強調したい」のは製品の特長であったり、競争力のある価格、であったりするはずです。
そのために「ある特長Aを強調したい」というときに、「I would like to emphasize how this special feature "A" will work.」とかいうと、なんか違う。
日本語にするなら「私はこの特長Aがどのように効果を発揮するかを強調して言いたい」みたいな、押し付けがましい感じ、になります。聞いてる方からしたら、「そんな力説されても知らんがな」みたいな。
よって、emphasizeは、どちらかと言うと、何かに注意を促す(=強調する)ようなときに使われるべきと思います。例文は以下の通り。
I want to emphasize again that you need to make sure the motor has been already turned off before you inspect.
改めて強調しておきますが、検査する前には必ず、モーターの電源が落ちていることを確認してください。
しかし、この単語もネイティブが使っているのはあまり聞きません。
では、そうした「言いたいこと(特長なり価格なり)」自体を「強調する」のに適切な単語はなにか、というと・・・。
多くの場合「強調する」は「highlight」でオールOK
すばり「highlight」を使いましょう。
辞書で引くと、名詞の意味で、日本語でも「映画のハイライト(見どころ)」というような「最も重要な点」とか「呼び物」というような意味に加え、動詞の意味でちゃんと「強調する」とか「目立たせる」「明るくする」とあります。
文字を強調する(明るくする)蛍光ペンも、英語で「highlighter」と言います。「ハイライトする」は日本語になっていますね。
蛍光ペンを使っている状況を想像すればわかりやすいのですが、「このプレゼンで強調したい本製品の特長は~」なんて言いたい場合、「highlight」を使うと、「特長自体をあなたの面前にわかりやすく明るみに出して強調する」というニュアンスを付与することができます(上述の「emphasize」を使うと、「特長があることを強く言いたい」というニュアンスが付きまとってしまう、と思います)。
また、この「highlight」には、強調して「説明する」という意味もついてくるところが便利な点です。
例文としては以下のような感じ。
In this presentation, I would like to highlight the technical feature of this product which enables you to reduce daily power consumption dramatically.
このプレゼンテーションでは、日々の電気使用量を大幅に削減することのできる、本製品の特長について(明るくわかりやすく強調してみなさんの注意を惹くようにして)説明したいと思います。
What I want to highlight right now here is that getting a permission from the relevant authority is critical at this beginning stage.
だからいまわしがここで言いたいのは、正味いまの段階やったら、まず関係官庁の許可取ることが先やっちゅうことや。
いかがでしょうか。
ビジネス会話で、「強調して説明する」の英単語として「highlight」をさらっと使えるようになると、「explain(説明する)」みたいな、粘着性の鈍重な響きではなく、ハイライト! というスカッとした、歯切れのよい、スマートな響きを会話に採り入れることができるのでおすすめです。
ちなみに、「highlight」に似た「underline」という「下線を引く」という単語にも、「強調する」という意味がありますが、これはどちらかというと文語的かと思います。「highlight」の方が口語としてバンバン使っていけます。
おまけ:名詞としての使い方
日本語ではほとんどの場合「映画や小説の見どころ」的な意味合いで使われていますが、元々は上記の通り「最も重要な点」という意味があります。
よって例えば、昼食時、隣に座っている会社の同僚が、栄養もあって独特の薬味である、ベトナムの麺料理フォーに入っているパクチーを、食べたくないからとひたすら脇に寄せて残していた場合、それを見ながら・・・
Phakchi is actually a highlight of that dish.
直訳:実はパクチーがその料理のハイライトです。
意訳:ていうかそれパクチーがうまいとこやねんけどな。
などと呟いて使うこともできます。
こんな感じで「見どころ」だけでなく、「あるものの重要な点」という意味で「highlight」という単語を使えるようになると、より一層、英会話をこなれた感じに演出できます。そして、いつのまにか英語がうまくなった気がしてきます。