本シリーズで何度も書いているように、ビジネスで英語を使うときは、英語のうまい下手を気にしすぎていてはよくありません。
お互い「Win-winの関係を」みたいなシラこいこと言いながら、自分のことしか考えず相手をアホとしか見てないような人間ばかりの国際ビジネス環境の中では、多少文法や発音が悪かろうが、しゃべったもん勝ちみたいなところがあることを心得たうえで、相手の性格(character)や置かれた状況(circumstances)に応じて、自分がどう振る舞うべきかを考える必要があります。
アホっぽくいくのか、調子乗った感じでいくのか、かしこまった感じでいくのか、偉そうにいくのか、エリートっぽくいくのか、草食系でいくのか、浪花節でいくのか。
迷った挙げ句にやっぱりアホ(自然体)でいくとしても、日々仕事をするうえでエレガンスは失いたくないものです。それでないとただのアホに見えてしまいます。
そのためには、英語が多少下手であっても、単語をちょっとだけ「ひねる」というか、意味は同じだけど、英語ネイティブが自然に使う単語を意識的に使っていくことで、英文の構造や発音はそんなにたいしたことなくても、「お、こいつアホっぽいけど、ただのアホではないな、言うなれば手練れのアホ・・・」と思われ、結果的にビジネスもうまくいくかもしれません。
というわけで今回は、本シリーズの「超簡単に英語をいい感じにする方法を提案する」という原点に立ち戻り、「よく使う単語だが、英語の下手な日本人が実はあまり使わないため、使うことで周りから一目置かれるかもしれないイージーな単語」を10個紹介します。
というか、会話で使う単語/表現のヴァリエーションを増やしていくということが主眼です。
1. dangerous → risky(危険)
ビジネス会話で「危ない」と言いたい時、英会話初心者は、十中八九「dangerous」と言います。デンジャラス。デインジャラス。
しかし、ビジネス会話上で「危ない」と言うときは多くの場合、目に見えない「リスク」のことを話しています。
よって、ほとんど「risky」でいけるといって過言ではないでしょう。実は「dangerous」ってあんま使わない単語です(危ないからイヤとかだったら「Scary」のほうが使う)。
We are not interested in taking up any governmental projects in XXX. It's risky!
XXXの政府系案件にはあんま興味ないです。危ないもん。
2. really → seriously(まじで)
日本人の「really?」の使用率の高さは、おそらく世界一なんではないでしょうか。あまりにも「really」言い過ぎるとアホっぽくなります。
そういう私もアホなのでよく使いますが、ここはひとつ「seriously?」を混ぜていきましょう。「真剣(まじ)?」という意味ですが、日本語の「マジ」ほどスラングっぽくないので便利です。「(Are you) sure?」と同様に、よく使われます。
Yeah. That's right. I'm serious. I'm sure. No! Seriously!
うん。そう。マジ。ほんま、いや、ほんまやって!
3. As soon as possible → at your soonest opportunity(できるだけ早く)
これも日本人が目茶苦茶よく使いますが、私は大嫌いな表現です。
「可能な限り早く」って「いつまでやねん、はっきり書けやどアホ、お前の都合勝手に押し付けるなカス、ていうか珍カス」という風に心の中でつぶやいてしまうからです。
とくに他社の勘違いした日本人がメールで、文章の後ろに調子に乗って「ASAP」とか書いてきた日にはかなりむかつきます。メールでの「ASAP」に失礼な印象を受ける人は実は結構多いのでご注意ください。
「ASAP」のような略語は、使うにしても社内連絡時だけに留めましょう。外部の人間に対して「ASAP」と書くのは、著しくエレガンスに欠ける、万死に値する行為です。
というわけで、代わりに言うとすれば「at your soonest opportunity」などがあります。ただし、多くの人種が関わるビジネスの場合は、それぞれ時間の感覚が異なるため、できるだけ「いつまでに必要か」という「due date」をはっきり記載したほうが良いのは言うまでもありません。さらにいえば、本当は「できるだけ早く」なんてあんまり意味ない言葉なんですけどね。
Please kindly send us the requested documents at your soonest opportunity.
お願いした書類ですが、できるだけ早く(あなたのご都合がつく最も早い時機に)お送りいただければ幸いです。
4. soon → shortly(もうすぐ)
そう言えば「soon」絡みで、「もうすぐ」と言いたいときは、「soon」の代わりに「shortly」を使った方が、なんとなく英語しゃべれる人っぽい雰囲気が出せて、いい感じです。「soon」はどことなく抽象的で響きもやわらか、「shortly」の方が時間をちゃんと管理しており、ほんとにもうすぐ感が出せます(多分)。
We will submit our proposal shortly.
もうすぐ提案書を提出いたします。
5. That's right / It's ok → Exactly / All right(相槌的な決まり文句)
相槌的についつい「That's right」や「It's ok」と言ってしまいます。
これも間違いではありませんが、「Exactly」や「All right」を意識的に混ぜていくことで、なんとなくおおらかな感じがして、頼りがいのあるような「できる感」が漂います。また、「Exactly」を「Precisely」にすると、やや知的・高級な印象になります。よりエレガントとは言え、使いすぎは鼻につくのでご注意を。
6. You're welcome → No worries(どういたしまして)
これも「どういたしまして」の代わりに、「No worries」(ご心配無用)にすることで「できる感」の演出に一役買います。もちろん「No problem」の代わりにも使えます。割と俗語ですが、ネイティブのひとはやたらと使います。丁寧な感じの「You're welcome」は男性が女性に使うとよいかもしれません。逆に女性から「No worries ♪」と言われると男性はややときめきます。
7. useful → informative / beneficial(役に立つ)
英会話初心者が、「役に立つ」「参考になる」と言いたいときによく使いがちな「useful」。英語ネイティブのひとはあまり使わないような気がしています。「useful」はモノが何かの用途に役に立つ、という印象。
ビジネス会話で代わりに使うと効率的かつ、英語できる感を出せるのは「informative」や「beneficial」です。この2つは非常に便利なので、ぱっと出るようにしておくべきです。
Thank you for your beneficial information. It is quite informative.
有益な情報をどうもありがとうございます。かなり役立ちそうです。
8. quarrel / quarrelling → argument(口論)
受験勉強で憶えたのだったか、「口論」=「quarrel」という強力な刷り込みが日本人に見られます。
たしかに意味は合っていますが、ビジネスで口論になるというのは、あくまで「議論/協議が紛糾した」という状況の方が多く、口喧嘩はさすがに滅多にしません。
なので、わざわざ発音の難しい「quarrel」や「quarrelling」などと言わずとも、ちょっと揉めたようなニュアンスのある「argument」(議論、口論)を使った方がすっきりして良いです。「debate」(議論)はちょっと理知的な感じ。
We had a heated argument with the client until 9 pm. So fricking tired.
夜の9時まで客と打合せで口論みたいになってもーたわ。クソ疲れた。
9. Person in charge → Your point of contact(担当者)
英語で「担当者」といえば、たいていの日本人は「Person in charge」(略してPIC)と言います。間違いではありません。書類でもよく使います。
しかし、ちょっと堅苦しいイメージで、会話やメールなどではもう少し軽やかでフラッフィーな表現をしたいものです。そこでおすすめは「your point of contact」です。これで、「あなたの連絡先=担当者」という意味で使えます。
I am glad to be your point of contact.
担当させていただき光栄です(あなたの連絡先になれて嬉しいです)。
10. In conclusion / Finally → at the end of the day(結局)
会話の中で最後に「(いろいろ考えたけど)結局のところ~」とか「なんやかや言うて~」という表現は、よく使います。
会話の中で「結果的に」「最終的に」と言うときに、ネイテイブのひとがよく使うのは、「In conclusion」などではなくて、「At the end of the day」です。
発音は「アティエンドオブザデイ」のように、やや早口でさらっと言います。
Weblio辞書で調べると、「いろいろ考慮してみて、要するに」と出てきました。たしかにそうなんですが、実際に会話で使われているときのニュアンスは拾いきれていません。
なのでCambridge Dictioneryで調べてみたら、以下のような答えでした。
something that you say before you give the most important fact of a situation:
Of course I'll listen to what she has to say but at the end of the day, it's my decision.
<和訳>
状況に関して最も重要なことを提示する前に言うサムシング:
もちろん彼女の言い分は聞くつもりだよ。でも結局のところ、それは僕の決断だ。
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/at-the-end-of-the-day
まさに、こういう事です。
「日の終わりに」という意味は消えたまま、会話中のつなぎ言葉のように使われます。とくに社内打合せ中によく使います。
We have so far proposed the best possible options to the client but at the end of the day they went for the cheaper one, Chinese.
これまで客には可能な限り最良の提案をしてきたつもりやけど、なんやかんやあって結局あいつら中国製の安い方いきよったわ。
以上。
思いつくままで状況別でもなんでもないですが、ぱっと思いついたものばかりなので、案外、普段よく使う言葉を列記できているのかもしれません。